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2023.05.16

“油絵の発明者 ヴァン・エイク 「神秘の子羊」” 2023/05/15 森耕治会長講演会報告

油絵の発明者 ヴァン・エイク 「神秘の子羊」

2023年5月15日(火)に東京のベルギー大使館にて日欧宮殿芸術協会(JEPAA)森耕治会長の第7回ベルギー美術講演会が開催されました。

今回のテーマとなったのは北フランドルのルネサンス期に活躍したヤン・ヴァン・エイクの「神秘の子羊」です。本講演会では、ヤン・ヴァン・エイクは約6世紀間にわたって西洋絵画の王者となった油彩画法を確立するなど絵画技術の革新者として知られますが、彼が兄フーベルトと共に製作した「神秘の子羊」を通して、世界で初めての油絵がいかにして生まれたかの観点から解説がなされました。

ヴァン・エイク(ファン・エイクと表記される)は、15世紀に活躍したフランドル地域出身の画家で、初期フランドル派の代表的な芸術家です。彼の作品は写実的な描写と精巧なディテールで知られており、芸術史上の重要な存在とされています。
は宗教的テーマを多く扱っており、「神秘の子羊」も宗教的な意味合いが多分に含まれる作品です。本作によってヴァン・エイク兄弟は油絵の技法を確立しました。森会長は本作の細部にまでスポットを当て、その解説は構図や描かれた人物の詳細、さらには色にまで及びました。森会長の緻密な分析と考察によってしか知り得ないヴァン・エイク兄弟の油絵画法の確立の秘話に60名を超える来場者は注意深く耳を傾けていました。

なお、講演前にはベルギー大使館の公使参事官エリザ・カスタルド氏が登壇され、森会長が本テーマを解説する意義と感謝を述べられました。本講演は今後のベルギーと日本両国の芸術文化交流を促進する一歩となったと言えるでしょう。

森会長と公使参事官エリザ・カスタルド様
「神秘の子羊」を解説をする森会長

次回開催予定の講演会

6月10日(土)午後3時から、「パリの佐伯祐三」~シャンソンのピアノ演奏と共に~を開催します。
 佐伯祐三は「狂乱の時代」と呼ばれた1920年代に渡仏して、エコール・ド・パリの全盛期にモンパルナスで建物の力強いと直線と白黒、それに壁に書かれた看板やポスターの文字をモティーフにするという、フランスでも例のない独自の芸術を築き上げました。しかしその矢先、2度目の渡仏中にパリで持病の結核が悪化。自殺未遂の末に衰弱死という最期を迎えます。わずか30歳という若さでした。
 本講演会では、この夭折した不遇の天才画家のパリ時代の作品を、当時のシャンソンのピアノへの演奏を交えながら解説して、佐伯祐三の尊厳を守り、同時に彼へのオマージュにしたいと思います。
 ピアノ演奏は、普段はチェンバロ奏者としてご活躍の澤朱里(さわあかり)さんです。佐伯がパリで活躍した1920年代のシャンソンを澤さんのピアノで楽しんでいただきます。
開催場所は、佐伯祐三研究の第一人者でいらっしゃる白矢勝一(しらやかついち)先生の小平市の白谷眼科医院の2階にある、グランドピアノ付きの素晴らしいアート・スタジオです。白谷先生は本業の眼科医としてご活躍されながら、画家であり、また佐伯祐三の研究者としても著名で、過去に何冊も佐伯祐三の研究書を出版されました。佐伯祐三の講演会の開催場所としては、最高の場所だと思います。もちろん講演前に白谷先生にもスピーチをお願いしています。特に近年世間を騒がせた贋作問題と自殺に関わる疑問等にも。突っ込んだご意見が伺えると思います。
日時 |6月10日 午後3時(開場2時半)
テーマ|「パリの佐伯祐三」~シャンソンのピアノ演奏と共に~
出演者|スピーチ 白谷勝一先生
    作品解説 森耕治(美術史家)
    ピアノ演奏 澤朱里
場所 |白矢アートスぺ―ス(白矢眼科医院2階)
    東京都小平市美園町1丁目4-12 (小平駅南口から徒歩2分)
応募をご希望の方は以下のリンクからご応募ください。