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2021.04.30

緊急事態宣言が明けたら真っ先に行きたい5月のおすすめ美術展3選

現在東京では3度目の緊急事態宣言が発令され、多くの施設に休業要請が出されています。もちろん美術館も例外ではなく、宣言の対象となる4都府県の美術館は基本的に4/25〜5/11まで休業を決定しました。

このゴールデンウィークで美術展に行こうと思っていた方々にとっては非常に残念なニュースではありますが、新型コロナウイルスの感染がおさまらない以上、仕方のないことなのかなとも思います。

なので今回は緊急事態宣言が明けたら真っ先に見にいきたい美術展を紹介してまいります。

今後のコロナ対策で緊急事態宣言も状況が異なることが考えられますので美術館に足を運ばれる際は公式HPからご確認いただきますよう宜しくお願い致します。

それでは解説をはじめて参ります。

1,アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人(森美術館 )04.22 – 09.26

アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人 チラシ

【展覧会紹介(公式HPより抜粋)】

71歳から105歳まで、全員現役!
第二次世界大戦後の動乱期を経て、現代アートの表現は多様な拡がりを見せました。そのなかでは、男性中心の視点で書かれた歴史や芸術の解釈、あるいは評価についての疑問も生まれました。欧米を中心としたジェンダー・イクオリティ(男女平等)に関するこれら初期の運動は、今日、グローバルな議論へと発展し、芸術の領域をはるかに越えて拡大しています。
こうした時世の動向に伴い、いま注目を集めているのが、1950年代後半から70年代にキャリアをスタートした現役の女性アーティストたちです。彼女たちは美術館や市場の評価に関わらず、ただひたすら独自の創作活動を続けてきました。その表現はモダニズムの発展だけでなく、ときに各地の文化的伝統や社会情勢も反映しており、多様性があるだけでなく、アートに向けられた強い意志と決意が通底しています。
本展では、世界各地で活動する70歳代以上の女性アーティスト約15名の多様な実践を紹介します。それはまさしく、彼女たちの芸術と生き方そのものへの称揚ともいえるでしょう。

【見どころ】

本展は71歳から105歳までの16人、世界14ヶ国から集められた女性アーティストの作品によって構成される美術展です。それぞれが拠点とする場所、表現方法や生き方はアーティストによって大きく異なりますが、いずれも作品の中から「力強さ」が溢れています。本展では彼女たちを突き動かす特別な力、「アナザーエナジー」とは何かを「多様性」をキーワードとして探ります。

現在は、周知の通り多様性が求められる時代です。性別、人種、生き方、考え方が自分と違うことは尊重すべき個性であり、それぞれの立場を認め合うことは当然となりつつあります。本展の出展アーティストたちは多様性が重視される以前から創作を行い、それぞれが激しく変化する環境の中で独自の制作を貫いてきました。そんな彼女らの姿勢や作品は未曾有の事態に晒された現在の社会を生きる人々に勇気や活力を与えてくれます。

年齢やジェンダー、国籍といった従来の枠組みを越え、さらには今の時代にこそ届けたいという美術館側の想いが形になったような必見の展覧会をどうかお見逃しなく。

 

【基本情報】

会場 森美術館

会期  2021.4.22(thu)~926日(sun)

時間 10:0022:00(最終入館 21:30火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30

料金 公式HPにてご確認ください

休館日 会期中無休

公式サイト https://www.mori.art.museum/jp/

2,開館70周年記念 空間の中のフォルム —アルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで(神奈川県立近代美術館)04.24 – 09.05

開館70周年記念 空間の中のフォルム —アルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで チラシ

【展覧会紹介(公式HPより抜粋)】

現代の彫刻家は、空間の中の多様なフォルムを追求してきました。神奈川県立近代美術館は、1951年の開館以来、こうした同時代の彫刻・立体作品を積極的に収集、展示、保存してきました。その70年の歩みを記念する本展では、9つのテーマによる特集コーナーを交えて当館を代表する収蔵品80点以上を出品します。アルベルト・ジャコメッティ《裸婦小立像》(1946年頃)や桑山忠明のインスタレーション《無題》(2004年)、最上壽之(ひさゆき)の大型木彫《トントンビョウシ ノ アシビョウシ》(1989年)のほか、マルタ・パン《モニュメント—桜》(1995年)や宮崎進《無題》(1990年頃)、小杉武久《Interspersion for Light and Sound 光と音の点在》(2000年/再制作2020年)など、新規に収蔵された名品も公開します。本展覧会は、わたしたちを包む空間とさまざまなフォルムの豊かな対話を感じるまたとない機会になることでしょう。

【見どころ】

1951年に開館した神奈川県立近代美術館は、日本最古の公立近代美術館です。その開館から70年の歩みを記念して開催されているのが「開館70周年記念 空間の中のフォルム —アルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで」です。

本展は開館してから保存収集してきた彫刻作品にスポットを当てて、現代の彫刻が辿ってきたフォルムを改めて捉え直すような展覧会です。上記にもあるようにその中心的な作品がジャコメッティ『裸婦小立像』(1946)から桑山忠明『無題』(2004)の作品であり、80点以上の作品を通して空間の中のフォルムを探究します。

中でも注目すべき作品は、新収蔵されたマルタ・パンの『モニュメント—桜』でしょう。マルタ・パン(1923–2008)はハンガリー出身の女流彫刻家で、野外の風景や都市の環境に調和する美しい彫刻で、現代美術に新しい波を起こしています。本作は本展で初公開となるので、真っ先に見ておきたい作品の一つです。

神奈川県立近代美術館は海岸沿いに位置し、風景の見える展示室があるなどとても開放的な美術館として知られています。都内ではなかなか味わうことのできない環境の中で作品の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

【基本情報】

会場 神奈川県立近代美術館 葉山

会期 2021.4.24(sat)- 9.5(sun)

時間 9:30 〜17:00(入館は16:30まで)

料金 一般 800円/20歳未満・学生 650円/65歳以上400円/高校生100

休館日 月曜日(53日、89日は開館)

公式サイト http://www.moma.pref.kanagawa.jp/

3,アイノとアルヴァ 二人のアアルトフィンランド―建築・デザインの神話(世田谷美術館)3.20 – 06.20

アイノとアルヴァ 二人のアアルトフィンランド―建築・デザインの神話 チラシ

【展覧会紹介(公式HPより抜粋)】

アイノ・マルシオ(1894-1949)が、まだ無名の建築家・アルヴァ・アアルト(1898-1976)の事務所を訪ねたのは1924年のことでした。アイノはそこで働きはじめ、ふたりは半年後に結婚します。アイノがパートナーになったことで、アルヴァに「暮らしを大切にする」という視点が生まれ、使いやすさや心地よさを重視した空間には、優しさと柔らかさが生まれます。
やがて国際的潮流となった合理主義的なモダニズム建築の流れのなかでも、ヒューマニズムと自然主義の共存が特徴として語られるアアルトの建築は、独自の立ち位置を築きました。実用性や機能性を重視するモダニズムの理論は、ふたりのヴィジョンとも重なるものでしたが、夫妻は自国フィンランドの環境特性をふまえ、自然から感受した要素をモティーフとしたデザインを通じ、彼らなりの答えを探求していきます。アイノは54歳という若さで他界しますが、ふたりが協働した25年間は、かけがえのない創造の時間となりました。
互いの才能を認めあい、影響しあい、補完しあいながら作品をつくり続けたアアルト夫妻。本展は、これまで注目される機会の少なかったアイノの仕事にも着目することで、アアルト建築とデザインの本質と魅力を見つめ直し、新たな価値と創造性を見出そうとするものです。2020年にギャラリーエークワッド、竹中大工道具館にて開催した先行企画で展示された作品資料も網羅するほか、長年遺族のもとで保管されてきた初公開資料などもご紹介します。

【見どころ】

アルヴァ・アアルトは、フィンランドで最も愛される建築家です。日本でも広く知られた存在であるため、アルヴァ・アアルトに関しての展覧会はこれまでに国内で何度か開催されています。しかし今回のようにアルヴァの妻、アイノにも脚光が当てられた展覧会は、おそらく初めてとなるでしょう。

本展は、アルヴァ・アアルトがまだ無名だった1924年からアイノとの出会い、世界的建築家となる1949年までの25年の歳月に焦点が当てられています。そのためこれまでに行われてきたアルヴァ・アアルトの個展とは異なり、公私にわたりアイノがどのようにアルヴァを支え、どのような軌跡を共に歩んできたか、その足取りを追える展覧会となっています。

アルヴァは建築だけでなく、家具やテキスタイルなどのデザインも手がけたことで広く知られています。それらの多くは北欧の象徴的なものとして今なお世界から愛されています。今回の展覧会ではこれらアルヴァの制作したものの裏側にあるアイノとのストーリーを知ることのできるまたとない機会となるでしょう。

 

『驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥 − 版という場所で』 チラシ

また、世田谷美術館では04.17 – 06.13にかけて『驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥 − 版という場所で』というコレクション展が同時開催されています。 それぞれのアーティストが日本の現代美術を語るうえで常に重要な位置を占め、版という共通点を通してそれぞれが求めた表現を探究します。本展も5月に見逃せない美術展の一つなので世田谷美術館に足を運ばれた際はぜひ行っておきたい美術展です。

【基本情報】

アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話

会場 世田谷美術館

会期 2021.03.20 – 06.20

時間 10:0018:00(入場は17:30まで)

料金 一般 1200円/65歳以上 1000円/大高生 800円/中小生 500円

休館日 毎週月曜日(祝・休日の場合は開館、翌平日休館)

公式サイト https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00202

驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥 − 版という場所で

会場 世田谷美術館(2階展示室)

会期 2021.04.17 – 06.13

時間 10:0018:00(入場は17:30まで)

料金 一般 200円/65歳以上 100円/大高生 150円/中小生 100円

休館日 毎週月曜日(祝・休日の場合は開館、翌平日休館)

公式サイト https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00110

 

 

 

 

 

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