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2021.07.02

【2021年版】7月に行きたい美術展3選

今回は7月に行きたい美術展3選と題しまして、編集部がおすすめする展覧会を紹介させていただきます。東京では緊急事態宣言が解除され、多くの美術館が一部規制を設けながらも活動を再開しています。多くの美術館は事前予約が必要で今までのような美術鑑賞ができるとまではいきませんが、このような状況の中でも徐々に美術に触れられる環境が整えられつつあります。

本記事では緊急事態宣言明けにふさわしい3つの美術展を紹介させていただきます。

山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選-写楽・北斎から琳派まで- 2021/7/3(土)〜8/29(日)山種美術館

浮世絵・江戸絵画名品選-写楽・北斎から琳派まで- チラシ(表)
浮世絵・江戸絵画名品選-写楽・北斎から琳派まで- チラシ(裏)

本展は『【必見】2021年下半期 注目の展覧会5選』でも取り上げた展覧会ですが、開催直前となったので改めて掲載させていただきました。

山種美術館は国内初の「日本画専門の美術館」として知られています。本年は開館55年の節目にあたり、これを記念して注目の展覧会が開催されています。これまでの記事でも同館の特別展は何度かお薦めさせていただきましたが、中でも7月から開催される「山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選−写楽・北斎から琳派まで−」は必見です。本展は江戸時代をテーマに、浮世絵をはじめ山種美術館の絢爛な江戸絵画が一堂に集結する貴重な展覧会となります。絵師もオールスター集結と呼ぶに相応しい豪華なメンバーが勢揃いで、日本の美術に馴染みのない方であっても十分に楽しめると思います。

中でも注目は、歌川広重の代表作「東海道五拾三次」の全作品一挙公開でしょう。「東海道五拾三次」はその人気の高さゆえ、繰り返し増版と複製製作が行われてきましたが、山種美術館で所蔵されているものは最初期の摺りの特徴を持つ図などが揃っており、圧倒的な希少性を誇ります。

本展では、「東海道五拾三次」全56点が前半後半に分けて展示がされる予定なので、何度か足を運んで全点コンプリートするのもいいかもしれません。

ぜひこの機会に江戸の粋を山種美術館で感じてみてはいかがでしょうか。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】
このたび山種美術館では、開館55周年を記念して、所蔵の浮世絵と江戸絵画の優品をご紹介する展覧会を開催いたします。
当館の浮世絵コレクションには、鈴木春信から鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重まで、六大絵師の名品が多数含まれており、保存状態も良いことから、専門家の間で高く評価されています。本展では、写楽の個性的な役者大首絵3点、「赤富士」で名高い北斎の《冨嶽三十六景凱風快晴》、広重の保永堂版《東海道五拾三次》など、絵師の代表作が揃う珠玉のコレクションを前・後期に分けて全点公開します。
また、当館の江戸絵画コレクションは、創立者・山崎種二が、米問屋の小僧時代に江戸琳派の絵師・酒井抱一の作品を見たことをきっかけとして、美術品の蒐集を行うようになったことから、琳派の作品が充実しています。本展では、俵屋宗達絵・本阿弥光悦書による《四季草花下絵和歌短冊帖》や《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》、酒井抱一《秋草鶉図》【重要美術品】などの琳派作品をはじめ、岩佐又兵衛《官女観菊図》【重要文化財】から、国内外で注目される伊藤若冲、さらに池大雅などの文人画、狩野派や円山四条派まで、諸流派による個性豊かな優品の数々をご覧いただきます。
江戸時代の浮世絵や絵画は、時代や国境を超えて人々に愛されてきました。印象派に影響を与えた浮世絵や、装飾性が高く評価された琳派などの江戸絵画は、日本の文化を世界に広めた一端を担ってきました。世界に認められたその芸術性は、今も変わらぬ輝きを放っています。本展を通じて、当館秘蔵の浮世絵・江戸絵画の魅力をご堪能ください。

【基本情報】

会場 山種美術館

会期 2021/7/3(土)〜8/29(日)

入館料 一般1300円/大学生・高校生500円/中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)

公式サイト https://www.yamatane-museum.jp/exh/2021/ukiyoe.html

世界報道写真展 2021/6/12(月)〜8/9(金)東京都写真美術館

世界報道写真展2021 チラシ

昨年1年間に撮影されたドキュメンタリーと報道写真を対象とした展覧会『世界報道写真展』が、今年も東京都写真美術館で開催されます。本展は、世界40ヶ国で毎年行われる約400万人が足を運ぶ世界最大規模の写真展です。「報道写真展」というタイトル通り、いつも我々が紹介させていただいている美術展とは少し毛色が異なりますが、非常に意義のある展覧会なのでご紹介させていただきました。

世界報道写真展は「現代社会の問題」、「一般ニュース」、「環境」、「自然」、「長期取材」「スポーツ」「スポットニュース」、そして「ポートレート」といった部門に分かれており、さまざまな観点から世界のいまを知ることのできる展覧会です。本展を通して、世界のどこかで起こっている問題に目を向ける重要性を感じさせてくれます。例年は日本にいては考えられない出来事が地球上のどこかで起こっているような印象でしたが、2020年に発生した新型コロナウィルスの影響により、今回は多くの方にとって身近と感じられる問題が数多く取り上げられているのではないかと思います。これをきっかけに、世界の出来事を自分自身の問題として目を向けていただければ幸いです。

日本ではあまり語られることのない真実を見に、東京都写真美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】

世界報道写真展とは

「世界報道写真展」は 1955年にオランダのアムステルダムで世界報道写真財団が発足したことにより 、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。毎年、1月~2月にかけて主に前年に撮影された写真を対象にした「世界報道写真コンテスト」が開かれ 、国際色豊かな国際審査員団によって選ばれた入賞作品が「世界報道写真展」作品として 、世界中の約120会場で展示されます。年間を通じて、総計約400万人が会場に足を運ぶ世界最大級の写真展と言えるでしょう。今、世界で起こっている現実を克明に捉えるプロの報道カメラマン達。その圧倒的な力量と息をのむような緊張感が伝わってくるような受賞作品の数々は、見る者の心に迫ります。

世界報道写真展2021について

第64回目を迎える今回は、130の国と地域のフォトグラファー4,315人から計74,470点の応募がありました。展覧会では、厳正な審査を経た約150点の入賞作品を紹介します。今年のコンテストは「現代社会の問題」、「一般ニュース」、「環境」、「自然」、「長期取材」「スポーツ」「スポットニュース」、そして「ポートレート」の全8 部門において 、28カ国45人の受賞が決まりました。各部門はそれぞれ「単写真(写真1 枚)」と「組写真(複数の写真で構成)」に分かれています(長期取材の部を除く)。入賞者は部門毎に各1位から3位までのいずれかに該当し、入賞者の中から、その年の最も優れた作品に対して「世界報道写真大賞」「世界報道写真ストーリー大賞」が贈られます。今年は世界報道写真大賞にマッズ・ニッセン氏(デンマーク 、ポリティケン/パノス・ピクチャーズ)の作品「初めての抱擁」が選ばれました。新型コロナウイルスと戦っている人間の絆と温もりが撮られており、人々に勇気を与える1枚です。

※本展は東京展以降滋賀、京都、大分と順に巡回する予定となっています

【基本情報】

会場 東京都写真美術館

会期 2021年6月12日(土)~8月9日(月)

入場料 一般1,000円/大学生・専門学生800円/中学生・65歳以上600円/小学生以下無料

公式サイト https://www.asahi.com/event/wpph/

マン・レイと女性たち 2021/7/13(火)〜9/6(月)東京都写真美術館

マン・レイと女性たち チラシ

ダダ、シュールレアリスムの鬼才マン・レイの展覧会『マン・レイと女性たち』が7/13(火)からBunkamura ザ・ミュージアムで開催されます。

マン・レイ1890-1976は20世紀に活躍した芸術家でダダ、シュールレアリスム運動に参加し、絵画、版画、彫刻、写真、映画など、多様なジャンルでユニークな作品を数多く残しました。多くのジャンルで革新的な表現を行ったマン・レイは、マルセル・デュシャンとともに「現代芸術の予言者」と称されます。近代芸術史を振り返る上で欠かすことのできない重要人物と位置付けられていますが、同時に謎多き人物としても知られています。そのため「マン・レイは何者か」という問いは、人によって見解が異なるのです。彼に関する研究が進んでも、今なおマン・レイは謎の人物であり、美術史の中では特異な人物であり続けています。

そんな謎の芸術家マン・レイについて、本展では「女性たち」という観点から紐解きます。生涯を4つの時代に分け、その時々に登場する女性たちに焦点を当てた250点以上の作品が展示される予定です。マン・レイは日本人にも非常に人気の高い作家であるため、これまで何度か日本展が開催されてきました。しかし今回はこれまで見ることができなかった切り口からマン・レイの人間像や作品観に迫っており、過去の展覧会を見た人にもぜひ足を運んでほしいと思います。総合的なモダンアートを切り開いて行ったマン・レイ。彼の既成概念にとらわれない自由な精神と卓越した感性を見ることができる貴重な展覧会なのでこの機会にぜひ足を運んでいただくことをお勧めいたします。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】

20 世紀を代表する万能の芸術家マン・レイ(1890-1976)の人生には多くの女性が登場します。彼は親しい女性たちをモデルにし、特に写真では、ときに優しく甘美で、ときに強く自立的で、ときには神々しいまでに美しい女性像を生み出しました。

本展ではさまざまな愛と別れ、知的な発見や考察、冒険や遊びを体験していく時間軸をタテ糸に、その時々のミューズとなった「女性たち」をヨコ糸にして、親密で詩的で機知に富んだ作品世界を繰り広げていったこの芸術家を、約150点の写真を中心に、絵画やオブジェなどを加えた250点を超える作品で振り返ります。

【基本情報】

会場 Bunkamura ザ・ミュージアム

会期 2021年7月13日(火)~ 9月6日(月) 

入場料 一般1,700円(前売1,500円)/大学・高校生800円/中学・小学生500円

公式サイト https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_manray.html

まとめ

今回は7月にいきたい美術展3選と題しまして

山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選-写楽・北斎から琳派まで- 2021/7/3(土)〜8/29(日)山種美術館

世界報道写真展 2021/6/12(月)〜8/9(金)東京都写真美術館

マン・レイと女性たち 2021/7/13(火)〜9/6(月)東京都写真美術館

を紹介させていただきました。今回の情報が美術に触れるきっかけとなれば幸いです。また今回紹介させていただいた展覧会は新型コロナウイルスの状況によって会期が変更される可能性があります。足を運ばれる際は一度公式HPをご参照いただきますよう宜しくお願い致します。

 

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