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2021.12.31

2022年アートの顔

いよいよ2022年、新しい年が始まります。
そこで来年2022年のアートシーンで脚光を浴びる人物“アートの顔”をご紹介いたします。

エドゥアール・マネ生誕190年(1832年1月23日)

エドゥアール・マネ

フランス芸術界の巨匠エドゥアール・マネは、2022年1月23日に生誕190年を向かえます。

1832年パリの裕福な家庭に生まれたマネは、当時の画壇における約束事に左右されない作品を次々に発表し、衝撃と革新をもたらしました。中でも代表作「草上の昼食」「オランピア」は世間を巻き込んだ一大スキャンダルへと発展し、サロンからの猛批判を受けます。一方、印象派をはじめとする若手芸術家には大きな希望をもたらし、印象派の指導者として、またパリ芸術界の革新の象徴としてその名を刻むこととなりました。

草上の昼食 オルセー美術館蔵

日本でも人気の高い印象派の指導者マネの存在に脚光が当てられることは間違いないでしょう。
コロナ禍ではありますが、2022年には企画展などが開催されることが期待されます。

ピエト・モンドリアン生誕150年(1872年3月7日)

ピエト・モンドリアン

今年生誕150周年を迎えるピエト・モンドリアン(1872-1944)は、オランダ・アムステルダム出身の画家です。

本格的な抽象主義を始めた第一世代にあたるモンドリアンは、同じ世代のワシリー・カンディンスキー(1866-1944)と比較され、”冷たい抽象”と称されます。最盛期に制作した原色の四角形で構成されたコンポジションの作品群は広く一般社会にまで浸透し、抽象表現の象徴の一つとして認識されるまでに至りました。彼の作風は後の抽象表現主義やミニマルアートへと継承され、その功績は今なお評価を高める一方です。

赤・青・黄のコンポジションⅡ 個人蔵

ルネサンスや19世紀パリ芸術の人気が高い日本にあってもモンドリアンは高い知名度を誇り、昨年開催された「モンドリアン展ー純粋な絵画を求めて」は盛況となりました。
今年も引き続きモンドリアンが注目を集めることになりそうです。

レオナルド・ダ・ヴィンチ生誕570年

言わずと知れた“天才”レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼もまた2022年に生誕570年の節目を向かえます。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

その名が示すとおりヴィンチ村に有能な公証人の非嫡出子として誕生したレオナルドは、フィレンツェの有力画家ヴェロッキオの工房で瞬く間に頭角を表し、独立後に「洗礼者聖ヨハネ」「最後の晩餐」「受胎告知」など、後世に受け継がれる傑作を発表します。最高傑作「モナ・リザ」は、世界最高の美術館ルーブルNo. 1の名画であることを誰も疑いはしないでしょう。他にも数多の分野で実績を残した稀代の天才です。

モナ・リザ ルーブル美術館蔵

現存するダ・ヴィンチの真作は数が少ないため、2022年に国内で展覧会が開催されるか見通しは明るくありません。
それでも多くの人々が開催を待ち望んでいるでしょうが、これは世界中の人々も同じなのです。

アントニ・ガウディ生誕170年

建築業界にとって、2022年は極めて重要な年になるでしょう。
なにしろ建築家アントニ・ガウディ生誕170年の節目であり、また彼の最高傑作サグラダ・ファミリアの着工140年なのですから。

アントニ・ガウディ

スペイン・カタルーニャ出身のガウディは、動植物からヒントを得た形態を取り入れた曲線主体の有機的なデザインや、彩陶タイルを用いた多彩な装飾で、建築業界に革命を起こしました。「グエル公園」「カサ・バトリョ」「カサ・ミラ」など彼の設計した建築はバルセロナのイメージを形成したと言っても過言ではなく、中でも「サグラダ・ファミリア」は今なお建築中にも関わらず世界中の人々を魅了しています。

サグラダ・ファミリア 2016年撮影

建築家の場合、展覧会に作品を展示するのが難しいという難点があります。
しかし設計図や仮想空間など展示スタイルが多彩になる昨今、工夫を凝らした展覧会が来場者に驚きと感動をもたらしてくれるのではないでしょうか。
また、展覧会以外にも、メディアでの紹介機会が増えることは間違いないでしょう。

グエル公園 2016年撮影

ギュスターヴ・エッフェル生誕190年

建築業界でもう一つ、忘れてはならない話題があります。
それがフランスの建築家ギュスターヴ・エッフェル生誕190年の節目です。

ギュスターブ・エッフェル

エッフェルはフランスの構造技術者で、普仏戦争後、世界各地の橋や駅、大屋根構造などを設計し、鉄骨構造技術のパイオニアとなりました。彼の代表作といえば「エッフェル塔」であり、今やパリの象徴の一つと言っても過言ではありません。
しかしエッフェル塔建設の話が持ち上がった際は、「花の都に無骨な鉄骨の塔を建てるなど景観破壊だ」として多くの批判や建築反対運動が巻き起こりました。こうした流れは、同じく反対運動のあった京都タワーの問題とも重なります。

エッフェル塔 2005年撮影

2022年、パリでは日欧宮殿芸術祭が開催される予定です。
日本芸術・文芸に脚光が当たることになるでしょうが、開催地パリの象徴エッフェル塔でこのような紆余曲折があったことにも思いを馳せていただければ幸いです。

 

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