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2020.09.15

青沼良 初個展を開催

展覧会風景

青沼良 長年の制作が結実した初個展開催

水墨画家・青沼良の個展「青沼良の世界 モノクロームファンタジー」が、浜松市中区にあるクリエート浜松 ギャラリー32・33(2020/09/07〜09/13)で開催された。

青沼良は、静岡市在住の水墨画家。日本のみならず作者はヨーロッパ、アジア、北米など国際的な場で発表を続けてきた。今回の個展はそんな作者自身にとって初の個展となった。作品数は60点を超え、制作初期の作品から国外で高い評価を受けた作品まで数多く発表された。

青沼は師匠を持たず独学で水墨を描いてきた。だからこそ青沼の作品は水墨の形式に制約を受けていない。彼女の表現は多彩で、固有の色を帯ている。

水墨画といえば一般的に花鳥山水といった題材が中心だが青沼はその枠に捉われていない題材が中心だ。作者は思い入れの強い場所、モノ、そして人物(特に家族との情景など)を作品の中に表現しているという。青沼の描く花の作品は作者自身が栽培し咲かせた花を題材にしていることも少なくない。その質感や香りを感じ、その実感をきっかけとして生まれるのが彼女の作品なのだ。

また画材に関しても水墨で使われる胡粉を使用せず処々淡墨を滲ませているため余韻が生まれている。色を重ねることができない水墨でここまで熟練された表現を行うためには多くの時間や経験が必要だったのではないかと思われる。本展では一つ一つの作品に込められた豊かな時間を感じることができた。

水墨画という枠を超え、長年の制作が結実した個展だと言えるだろう。

青沼先生
「月下美人(陽光の奇蹟)」