
2025.06.30
【展覧会レポート】塚田稔 第14回個展「揺らぎと規則性」「情動と理性」
東京・表参道のGallery Concept 21にて、画家・塚田稔氏の個展が開催されました(2025年6月24日〜29日)。14度目となる塚田氏の個展ですが、今回は「揺らぎと規則性」「情動と理性」という人間の本質に迫るテーマを掲げ、新たな表現の一面を切り拓きつつも、深い思索を誘う展覧会となりました。

塚田稔氏は、長野県出身の画家・脳科学者。玉川大学では名誉教授、神経回路学会では名誉会員に就任するなど、日本の脳科学研究を長年牽引してきました。一方で脳科学と芸術を往復する研究と創作を続けており、今回の展示でも科学的な視点と感性的な直感を織り交ぜた独自の世界観を展開されています。出展作〈情動と理性の狭間〉は150号のキャンバスいっぱいに光と影が複雑に絡み合う大作で、見る者の内面に深く問いかけます。また〈カスバの壁面〉など、歴史や記憶を宿す構造物をモチーフにした人間の営みの痕跡を静かに描く作品も多くの注目を集めました。
作品には、細密な筆致と大胆な構図の両方が共存し、まさに「規則性の中の揺らぎ」が体現されているようでした。加えて、会場では先生ご本人による作品解説も行われ、来場者は作品の背後にある哲学や科学的視点に触れ、鑑賞体験はより多層的なものとなりました。
冒頭にも述べたとおり、今回で14回目を数えた塚田稔氏の個展ですが、芸術が感性だけでなく知性にも訴えかけるものであることを改めて実感させられる、深い余韻の残る展覧会となりました。
今後の活動にもいっそう注目が集まっていくことは間違いありません。

展覧会情報
塚田稔 第14回個展
会期: 2025年6月24日(火)〜29日(日)
会場: Gallery Concept 21
住所: 〒107-0061 東京都港区北青山3-15-16
開廊時間: 11:00~19:00(最終日は17:00まで)