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2021.03.11

【2021年版】3月に絶対行きたい美術展3選

今回は2021年3月に絶対いきたい美術展を紹介していきたいと思います。

現在は緊急事態宣言中ではありますが、そんな中でも興味深い展覧会が全国で開催中です。
今回は関東圏で開催されている美術展から、3展をピックアップしました。

小村雪岱スタイル-江戸の粋から東京モダンへ」(三井記念美術館)

特別展「小村雪岱スタイル ―江戸の粋から東京モダンへ」 パンフレット

最初にご紹介させていただくのは、三井記念美術館で開催中の「小村雪岱スタイル-江戸の粋から東京モダンへ」(4/18 土まで)です。

【展覧会情報】

大正~昭和初期に装幀や挿絵、舞台美術などで活躍した小村雪岱(1887-1940)。泉鏡花著『日本橋』の装幀を手掛け、人気装幀家となりました。本展では江戸の粋を受け止め、東京のモダンを体現した「意匠の天才」雪岱の肉筆画、版画、装幀を中心に、その源流である鈴木春信らの作品を交え、「江戸の粋」から「東京モダン」への系譜を紹介します。また江戸の粋やモダンを感じさせる、近代工芸や現代工芸も併せて展示します。(出典:三井記念美術館HPより引用)

【補足情報】

小村雪岱(こむらせったい)は、大正から昭和初期にかけて活躍した芸術家。東京美術学校(現・東京芸術大学)で日本画を学んだ後、日本画の技法を軸として装幀や小説の挿絵を手がけるなど、特に商業美術の分野で大きな成功を収めたため「意匠の天才」と呼ばれています。とくに挿絵は1万点を超える作品が残っており、小村の人気ぶりを如実に表していると言えるでしょう。また舞台芸術の分野でも才覚を発揮したことで広く知られており、「画家」にとどまらず多くの分野で活躍しました。
しかし当時の画壇では商業美術を主な生業とする小村の業績をよく思わず、評価は非常に低いものでした。小村自身も風当たりの強さを理解し、画壇と距離をとって活動していました。彼の作品は今も色褪せることがないのは、おそらく画壇の評価に固執せず、自身のスタイルを貫き、自身の表現を最大限活かせる場所で作品を描き続けたからなのでしょう。
三井記念美術館で開催されている「小村雪岱スタイル-江戸の粋から東京モダンへ」では挿絵をはじめ、版画、舞台装置画そして貴重な肉筆画が紹介されています。「雪岱調」と呼ばれる小村雪岱が切り拓いた道を通して日本がモダンへと向かう軌跡を感じてみてはいかがでしょうか。

【会場情報】

場所:三井記念美術館
会期:2021/2/6(土)−4/18(日)
時間:11時−16時(入館は15:30まで)
料金:(日時指定予約制)一般1,300円/大学・高校生800円/中学生以下無料
公式サイト:http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

 

マーク・マンダース−マーク・マンダースの不在 (東京都現代美術館)

マーク・マンダース「マーク・マンダースの不在」パンフレット

続いて紹介させていただくのが東京都現代美術館で3月20日から開催予定の「マーク・マンダース−マーク・マンダースの不在」(6/20 日まで)です。

【展覧会情報】

東京都現代美術館では、現代のアートシーンに独自の位置を占める作家マーク・マンダースの、国内美術館で初となる個展が開催されます。
マンダースは、1968年に生まれのオランダの芸術家。現在ベルギーにスタジオを構え、一貫して「建物としての自画像」という独自の構想に則った制作を行っています。独自の構想とは、自身が架空の芸術家として名付けた「マーク・マンダース」という人物の自画像を、「建物」の枠組みを用いて形作るというものです。その構想から生まれた作品は、マンダースの意図のもと、インスタレーションとして展示がなされ、全体を通して一つのテーマを意味しています。本展でも同様に、展覧会自体が一つのインスタレーションという壮大な構想であり、尚且つそれを日本にいながらにして見られる貴重な機会です。この大注目の展覧会をどうぞお見逃しなく。

【補足情報】

マーク・マンダース(1968−)は現在世界各国で作品発表を行う現代アーティストの一人であり、今最も注目すべき芸術家の一人です。日本ではつい先日の2/28まで、金沢の21世紀美術館でミヒャエル・ボレマンスの作品とともに作品が展示されていました。21世紀美術館で展示された作品も話題となりましたが、3月20日から東京都現代美術館で開催される彼の展覧会は、日本での初個展ということもあり、さらに大きな話題となることが予想されます。
本展は開催前にも関わらず大きな注目を集め、現代アートフェンの多くが本展覧会の開催を待ち侘びています。ここまで注目を集めているのも現代芸術家の中でも一際独自のスタイルを感じさせる芸術家であり、国際的な場で数々の賞に輝いてる人物であるからと言えるでしょう。
特に2013年の第55回ヴェネツィア・ビエンナーレにてオランダ代表として参加したことは芸術ファンの間で広く知られています。ビエンナーレで展示された作品は「“Room with Broken Sentence」というインスタレーション。もちろんこのインスタレーションも、全体を通して一つのテーマを表現するということがなされました。「マーク・マンダースーマーク・マンダースの不在」では、第55回ビエンナーレで発表された個々の作品が「マーク・マンダースの不在」というテーマの下で改めて展示されるようです。それらの作品がどのように展示されるのかも大きな見所です。
東京都現代美術館は、昨年にも「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」や「おさなごころを、きみに」といった話題の展覧会を数多く手がけています。現代美術に関する展覧会の質は間違いなく国内トップクラスでしょう。わざわざ足を運ぶ価値のある美術館です。

【会場情報】

場所:東京都現代美術館
会期:2021/3/20(土)- 6/20(日)
時間:10:00−18:00(入館は17:30まで)
料金:一般 1,500円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 1,000円 / 中高生 600円 / 小学生以下無料
公式サイト:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mark-manders/

 

3.11とアーティスト:10年目の想像 (水戸芸術館現代美術ギャラリー)

3.11とアーティスト 10年目の想像 パンフレット

最後に紹介させていただくのが、水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催中の「3.11とアーティスト:10年目の想像」(5/9(日)まで)です。
上記の美術館と比べて若干遠い場所にありますが、日本で暮らす全ての人にとって過去を見直す大切な1日であるため、本展覧会を選ばせていただきました。

【展覧会情報】

2021年3月、東日本大震災から10年目を迎えます。
(中略)本展では「想像力の喚起」という芸術の本質に改めて着目し、東日本大震災がもはや「過去」となりつつある今、あの厄災と私たちをつなぎ直し、あのとき幼かった世代へ、10年目の私たちへ、そして後世へと語り継ごうとする作品群を紹介します。
なぜなら、東日本大震災が露わにした問題の一つは、私たちの「想像力の欠如」だったからです。しかし、ものごとを想像する/させることは、そもそも芸術の重要な仕事の一つではなかったでしょうか。(出典:水戸芸術館現代美術ギャラリーHPより抜粋)

【補足情報】

3/11は日本に住む多くの方にとって節目となる1日であり、さらに2021年は東日本大震災から10年という大きな意味を持つ一年となります。
日本中を震撼させたあの出来事から10年が経った今も、東北の一部地域では復興途上のままで、震災前にあった日常を取り戻すことはできていません。一方で世間の東日本大震災に関する記憶は、日が経つごとに薄れ、あの出来事は過去のものになりつつあります。
その現状を見直すためにさまざまな場所で3.11に関しての取り組み行われており、その中でも3.11とアートを関連づける注目すべき展覧会が水戸芸術館現代ギャラリーにて開催されています。それが今回紹介させていただく「3.11とアーティスト:10年目の想像」です。本展は2012年に開催した展覧会「3.11とアーティスト:進行形の記録」から9年ぶりに開催される展覧会であり、風化しつつあるあの日の記憶を芸術を通して喚起するということが目的となっています。
10年目の想像をテーマに展示された作品には美しさや驚きだけに止まらず現状の問題を浮き彫りにする力があるように感じます。芸術家たちが3.11に思いを馳せて未来に何を伝えようとしているのか。その芸術家たちの声は明日に進むための大きな気づきを与えてくれることと思います。

【会場情報】

場所:水戸芸術館現代美術ギャラリー
会期:2021年2/20/(土)〜5/9(日)
時間:10:00~18:00(入場は 17:30 まで)
料金:一般 900 円、団体(20 名以上)700 円
公式サイト:https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5111.html

 

 

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