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2021.04.09

【2021年版】4月開催予定、春に行きたい美術展3選

今回は2021年4月にいきたい美術展を紹介していきたいと思います。

依然として新型コロナウイルスの感染は広まっておりますが、美術館側はガイドラインを遵守しながら企画展を開催しています。全ての美術館がコロナに負けず最高に面白い美術展を企画しているので今回は中でも興味を惹かれた美術展の紹介をさせていただければと思います。

テオ・ヤンセン展 (山梨県立美術館)2021/4/24-6/22

「テオ・ヤンセン展」 チラシ

まず一つ目に紹介するのは、オランダの造形作家テオ・ヤンセンの個展「テオ・ヤンセン展」です。

【展覧会情報】

オランダ生まれの造形作家テオ・ヤンセンは、「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称されるアーティストです。風力で動く巨大な立体作品「ストランドビースト(砂浜の生命体)」シリーズは、海辺の砂浜を自力で積み上げて防波堤を築く巨大な造作物で、学研「大人の科学」やテレビCMにも取り上げられました。会場では、実際に作品が動く様子を紹介したり、映像や模型を展示したりと、自然との共生や芸術と科学の接点について子どもから大人まで楽しく学べます。(公式HPより抜粋)

【補足情報】

現代芸術家の中でも最も注目を集めている芸術家テオ・ヤンセン。そんな彼の展覧会が2021年の4月、山梨県立美術館にて開催されます。

個人的には4月で最も行ってみたいと感じた美術展であり、多くの方にも行っていただきたいと感じた美術展です。

「テオ・ヤンセン展」と聞いて「テオ・ヤンセンの展覧会ね、行ったことあるよ」という方も多いと思います。それもそのはず日本でも人気の高い芸術家であるため、これまでに彼の展覧会は日本各地で数多く開催されてきました。

では、なぜ今回の展覧会を強くおすすめしているのか。

それは山梨県立美術館で開催されるためです。山梨県立美術館といえばミレーやモネ、ゴーギャンなどの作品をはじめとして世界の名作を所蔵している美術館。そこに「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称されるヤンセンの作品が展示されるのです。まさに夢のコラボレーションとも言えるのではないでしょうか。山梨県立美術館はただでさえ満足度の高い美術館であるにも関わらず4/24(土)からは見どころ満載な美術館となります。山梨県は少し遠いという方も多いとは思いますが、間違いなく行っておきたい美術展の一つです。

ちなみにテオ・ヤンセンの代表作「ストランドビースト」は、オランダ語で砂浜を意味する“Strand”と、生命体を意味する“Beest”の2語をつなげた造語です。彼はこのシリーズから作り出した作品を生物と呼び、それぞれに固有の名称がつけられています。ヤンセンによって作られた有機的な生物が見せる芸術と科学の融合は進化し続けており山梨県立美術館ではどのような進化の形が見られるのか、必見の内容となっています。

【会場情報】
場所:山梨県立美術館
会期:2021/4/24(土)−6/22(日)
時間:9時−17時(入館は16:30まで)
料金:一般1,000円/大学生500円/高校生以下無料
公式サイト:https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/exhibition/2021/146.html

ミネアポリス美術館 日本絵画の名品−あなたの推し絵師きっといる!−(サントリー美術館)2021/4/14−6/27

「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品−あなたの推しの絵師きっといる!−」 チラシ

【展覧会情報】

アメリカ中西部ミネソタ州最大の都市ミネアポリスに設立されたミネアポリス美術館、通称Mia(ミア)は、現在世界各地の約9万点を超える美術作品を所蔵しており、そのうち日本絵画は、約2500点の浮世絵をはじめ、質・量ともに日本国外ではトップクラスのコレクションです。近年でも在米の美術愛好家から多くの日本絵画・工芸が寄贈されるなど、今なお進化し続けています。

本展は、Miaの日本美術コレクションの中から選りすぐりの優品を揃え、中世から近代にいたる日本絵画の変遷を辿っていきます。水墨画・狩野派・やまと絵・琳派・浮世絵・文人画(南画)・奇想派・近代絵画というように、江戸絵画を中心に日本絵画史の主要ジャンルをほぼ網羅するラインナップで、初の里帰り作品を含む貴重な機会です。展示室を訪れれば、きっとイチオシの絵師〈推し絵師〉に出会えるでしょう。時空を超えて一堂に集った人気絵師たちの華やかな競演をぜひご覧ください。(公式HPより抜粋)

【補足情報】

本展は日本で生まれた作品が海外に渡り、そこで所蔵されている作品が日本に凱旋するという形になっています。凱旋展とも言えるのでしょうか。この展覧会の形は日本で好まれる企画の一つであり、日本にいるだけではなかなかお目にかかれない日本の作品を見られる貴重な機会です。

この凱旋のような展覧会が好まれるのにも海外で所蔵されている日本の作品が多いことに起因しています。

その理由を簡単に説明させていただきますと、19世紀後半にジャポニスム(日本趣味)がヨーロッパを席巻し、日本の美術の認知度が一気に高まることとなりました。一方、日本では明治政府誕生と共に身分制度が廃止(四民平等)され、士族階級が一斉に失職。また寺社をはじめとする仏教関係者も、神仏分離令に伴って一気に無用の扱いとなってしまいます(廃仏毀釈)。その結果、生活の苦しい士族や仏教関係者が所有していた美術品を手放し、それらが海外の熱心な日本画コレクターに渡ることとなりました。そのため日本の貴重な名作は海外で保管されていることも多く、一時的に帰還する日本生まれの名作は展覧会の注目の的になることが多いのです。

本展ではアメリカのミネアポリス美術館がテーマとなっておりますが、日本の作品にのみスポットが当てられていて、その凱旋を心ゆくまま楽しむことができるような構成になっています。チラシにも記されているように今回は雪村、伊藤若冲、葛飾北斎、東洲斎写楽などの約80点ほどの作品が来日予定です。

日本で生まれた作品でありますがなかなか見ることのできない作品の数々なのでぜひこの機会に足を運んで見てはいかがでしょうか。

【会場情報】

場所:サントリー美術館
会期:2021/4/14(水)-6/27(日)※火曜日は休館
時間:10:00−18:00(入館は30分前まで)
料金:一般 (当日)1,500円(前売)1,300円 / 大学生・高校生 (当日)1,000円 (前売)800円 / 中学生以下無料
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2021_1/index.html

百花繚乱−華麗なる世界−(山種美術館)2021/4/10−6/27

「百花繚乱−華麗なる花の世界−」 チラシ

最後に紹介するのが、山種美術館の開館55周年記念特別展「百花繚乱−華麗なる花の世界−」です。

【展覧会情報】

本展では、近代・現代の日本画を中心に、横山大観の桜、山口蓬春の紫陽花、小林古径の蓮、速水御舟の椿など、春夏秋冬、1年12ヶ月それぞれの季節を感じさせる花の名画を一堂に展示し、名だたる画家たちの花に寄せるまなざし、創意工夫に満ちた表現を展覧。また、四季をそろえる伝統を受け継いだ田能村直入《百花》や荒木十畝《四季花鳥》、中国の院体画を意識した福田平八郎《牡丹》、琳派へのオマージュが込められた川端龍子《八ツ橋》など、個々の作品が持つ歴史的背景もあわせて紹介する。(公式HPより一部抜粋)

【補足情報】

本展は多彩な日本画コレクションを揃える山種美術館の開館55年記念の特別展です。

山種美術館は東京の広尾にある日本画専門の美術館で、日本で初めて開館した日本画専門の美術館としても広く知られています。日本で初めて開かれた日本画専門美術館に相応しいコレクションは圧巻で酒井抱一、竹内栖鳳、横山大観、上村松園など、日本が誇る作家の作品の数多く有しています。基本的に常設は行っていないため所蔵している名品たちは年5、6回開催される企画展で見ることができます。いずれの企画展も質が非常に高く、毎回見逃せない企画展が開催されています。

そして4/10(土)から開催されるのが「百花繚乱−華麗なる花の世界−」という特別展。上記の説明にもあるように今回テーマとなっているのが「花」です。花といえば晴れの舞台に欠かせないものですが開館55周年を記念して絵に描かれた花で会場を彩るという意味が込められているのでしょうか。

一口に花といってもその表現は作家によって全く異なります。本展ではその作家によって異なる表現の細部まで感じられるような展覧会になっているのでしょう。また日本の花々を描く際に欠かすことのできない四季の表現も本展覧会では大きなテーマになっているようです。日本画でしか味わうことのできない美意識や花からみる日本の四季を味わえる貴重な展覧会になること間違いありません。

【会場情報】
場所:山種美術館
会期:2021/4/10/(土)−6/27(日)※月曜日は休館
時間:平日10:00-16:00/土日祝10:00-17:00(入館は閉館の30分前まで)
料金:一般1300円/大学生・高校生1000円/中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)
公式サイト:https://www.yamatane-museum.jp/exh/2021/flower.html

※今後の状況により、開館に関しての情報は変更することがありますので事前に公式HPでのご確認をおすすめいたします。

 

以上が独断と偏見から選抜させていただいた4月に行きたい美術展3選となります。このほかにも数多くの面白そうな美術展が各地で開かれているのでまた次の機会にでも紹介させてていただければと思います。

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