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2021.09.24

【2021年版】「芸術の秋」に行きたい美術展3選

今回は「2021年版 「芸術の秋」に行きたい美術展3選」と題しまして、この秋おすすめの美術展を三つご紹介します。

秋といえば一年で最も美術館に足を運ぶ人数が増える時期と言われており、各地で注目の芸術展が開催される季節です。

現在は多くの都道府県が緊急事態宣言下にあるためなかなか気軽に足を運ぶことができない状況が続いておりますが、各地で注目の展覧会が行われているのでその中から三つに絞って紹介させていただきます。

それでは早速いってみましょう。

1,ゴッホ展−響きあう魂 へレーネとフィンセント 2021/9/18(土)〜12/12(日)東京都美術館

ゴッホ展 響きあう魂 へレーネとフィンセント チラシ

【展覧会の見どころ】
まず一つ目は、おそらく美術史上最も偉大な芸術家の一人、フィンセント・ファン・ゴッホの展覧会です。そんな彼の展覧会「ゴッホ展−響きあう魂 へレーネとフィンセント」が9月から東京都美術館で開催中です。しかも本展は、これまで国内で何度も開催されてきたゴッホの展覧会とは違い、あるコレクターが収集したゴッホの作品がテーマになっているのです。

美術館の特別展にはルーヴル美術館など美術館の名を冠した展示、ピカソ展といったように画家に着目した展示、印象派展や20世紀のアート展のように時代や芸術運動で括った展示、そしてコレクターの作品が一堂に集められたコレクション展などがあります。サブタイトルにもあるように、本展はへレーネというコレクターが収集したゴッホの作品がテーマであり、へレーネとゴッホ、二人の軌跡を見る展覧会です。

ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)は300をこえるゴッホの作品を収集し、一大コレクションを築き上げた個人収集家です。残念ながらへレーネがゴッホの作品と出会った時、彼はすでに故人となっていました。しかしその作品性に惹かれ、ゴッホの作品収集に生涯を捧げたことで知られています。今となってはゴッホの作品といえば破格の高値で取引されるものですが、へレーネのゴッホコレクションが評価されたのは、彼女の死後のことで、これは生前一枚しか絵が売れなかったゴッホの境遇と重なるものがあります。へレーネは愛も健康も幸せも全てを捨てて芸術、特にゴッホの作品に身を捧げました。本展を通して、へレーネを突き動かしたゴッホの魂とは如何なるものだったのかを体感いただけるのではないかと思います。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の芸術に魅了され、その世界最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)。ヘレーネは、画家がまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年で、鉄鉱業と海運業で財をなした夫アントンとともに約90点の絵画と180点を超える素描・版画を収集しました。ファン・ゴッホの芸術に深い精神性を見出したヘレーネは、その感動を多くの人々と分かち合うべく、生涯にわたり美術館の設立に情熱を注ぎました。
本展では、からファン・ゴッホの絵画28点と素描20点を展示します。また、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの絵画20点もあわせて展示し、ファン・ゴッホ作品を軸に近代絵画の展開をたどる、ヘレーネの類まれなコレクションをご紹介します。
さらに、ファン・ゴッホ美術館から《黄色い家(通り)》を含む4点を展示し、20世紀初頭からファン・ゴッホの人気と評価が飛躍的に高まっていく背景にも注目します。

【基本情報】
会場 東京都美術館

会期 2021/9/18(土)〜12/12(日)

公式サイト https://www.tobikan.jp/exhibition/2021_vangogh.html

 

2,ミニマル/コンセプチュアル: −ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術− 2021/10/9(土)〜2022/1/10(月・祝)DIC川村記念美術館

ミニマル/コンセプチュアル: チラシ

【展覧会の見どころ】
二つ目は、10月からDIC川村記念美術館で開催予定の「ミニマル/コンセプチュアル:−ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術−」です。本サイトでも何度かご紹介させていただいているDIC川村記念美術館。独自路線の企画を行なっている同美術館では、他ではなかなかみることのできないような企画展が数多く開催されています。今年の10月から開催される「ミニマル/コンセプチュアル:−ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術−」は、60年代から70年代アートの発展で重要な役割を果たしたドロテ・フィッシャーとコンラート・フィッシャー(コンラート夫妻)の活動を軸に、今日の芸術にも大きな影響を与えているミニマルアート、コンセプチュアルアートを再考する展覧会となっています。

コンラート夫妻に焦点を当てた数少ない展覧会が開催されるということだけでも必見の展覧会ですが、コンラート夫妻にゆかりのあるカール・アンドレ、ダン・フレイヴィン、ゲルハルト・リヒターなどの作品がどのような系譜の中で展示されるのか大きな注目のポイントとなっています。

また本展は1月までDIC川村記念美術館で開催された後、来年の3月から兵庫県立美術館での巡回が決定しております。関西にお住まいの方も同展を見られるチャンスなのでぜひ足を運んでいただきたい美術展です。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】
ミニマル・アートは1960年代に主にアメリカで展開した美術の潮流として知られています。レンガや金属板、蛍光灯といった工業用素材や既製品が使用されること、正方形や立方体などの単純で幾何学的な形態やその反復による構造が一般的な特徴として挙げられます。作家の感情の痕跡や身振りを伴う表現を排し、作品はその物質性を前景化させます。

ミニマル・アートに続いて現れ、同時代に拡がりを見せたコンセプチュアル・アートは、実際の制作物以上に、もととなる考えを作品の成立条件として重視します。芸術にとって最も重要な要素はアイディアやコンセプトだと考えたのです。特定の形態に限定されることなく、言葉をはじめ、写真、映像、印刷物、日用品、自然物、そして作家自身の身体など多様な媒体や形式が用いられました。

こうした新しい傾向をもつ芸術を紹介する国際的な拠点のひとつとなったのが、コンラート・フィッシャーが1967年にデュッセルドルフに開いたギャラリーでした。フィッシャーはアメリカやヨーロッパの若いアーティストたちとコンタクトを取りながら、斬新なプロセスで展覧会を実現させていきます。完成した作品を高い費用をかけて海外から輸送するよりも、作家本人をデュッセルドルフに招いて現地で制作する方法がとられました。または作家が記した指示書に基づき、フィッシャーをはじめ、職人やエンジニアなどが制作と展示設営を遂行しました。

フィッシャーは妻のドロテとともに、展覧会を手がけた作家たちの作品を蒐集し、同時に書簡や指示書、展示のためのドローイングといった多彩な資料も記録、保管してきました。本展では、故フィッシャー夫妻のコレクションを収蔵したノルトライン゠ヴェストファーレン州立美術館の全面的な協力のもと、1960年代から70年代のミニマル・アートとコンセプチュアル・アートを中心とした貴重な作品や、その生成を紐解くアーカイブを展覧します。さらに、国内所蔵の主要作品を加え、異なる主張や特性を有しながらも、芸術とは何かを問い直し、今日のアートにも多大な影響を与えたこれらの芸術動向を振り返ります。

【基本情報】
会場 DIC川村記念美術館

会期 2021/10/9(土)〜2022/1/10(月・祝)

公式サイト https://kawamura-museum.dic.co.jp

3,イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜— モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン 2021/10/15(金)〜2022/1/16(日)三菱一号館美術館

イスラエル博物館所蔵印象派・光の系譜— モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン チラシ

【展覧会の見どころ】
三つ目に紹介させていただくのは、10月15日から開催予定の「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜— モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン」です。本展では日本で初公開の印象派のコレクションが見られるということで開催前にも関わらず大きな注目を集めています。さらに「イスラエル博物館所蔵」という部分も大きな注目となっています。

イスラエルと聞くと反射的に「危険な地域」と連想してしまいがちですが、中心都市エルサレムは観光地として人気も高く、訪れればこの国が太古の昔から培ってきた豊かな芸術文化に触れることができます。その豊かな芸術文化に触れられる象徴的な場所が今回の展覧会のテーマとなっている「イスラエル博物館」なのです。

イスラエル博物館といえば希少価値の高い死海文書に関しての資料から、ユダヤ教の歴史にまつわる資料や世界各国の美術に至るまで様々なコレクションを収集しているイスラエルでは最大の文化施設です。その美術館からモネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガンなどの日本ではなかなかお目にかかれない作品がやってくることだけでも必見の内容ですが、加えてイスラエル美術館がどのような美術館であるかを知ることのできる貴重な展覧会になっています。

なお本展は2022年の1月から大阪でも巡回予定となっているので、関西地方在住の方もぜひ足を運んでいただけると幸いです。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】
約50万点の文化財を所蔵するエルサレムのイスラエル博物館は、印象派も珠玉のコレクションを誇ります。本展は同館から、印象派に先駆けたクールベ、コロー、ブーダン、そしてモネ、ルノワール、シスレー、ピサロ、この流れを発展させたポスト印象派のセザンヌ、ゴッホ、ゴーガン、さらに印象派の光と色彩の表現を独特の親密な世界に移し変えたナビ派のボナールやヴュイヤールの作品約70点を厳選し、印象派の光の系譜をたどります。
なかでも、睡蓮の連作で有名なモネの《睡蓮の池》は、特に「当たり年」と評される1907年に描かれたものです。この画家全盛期の作品を含めた出品作の大半が、日本初公開となります。

【基本情報】
会場 三菱一号館美術館

会期 2021/10/15(金)〜2022/1/16(日)

公式サイト https://mimt.jp/israel/

 

まとめ

今回は「芸術の秋」にいきたい美術展3選と題しまして

1,ゴッホ展−響あう魂 へレーネとフィンセント− 2021/9/18(土)〜12/12(日)東京都美術館

2,ミニマル/コンセプチュアル: 2021/10/9(土)〜2022/1/10(月・祝)DIC川村記念美術館

3,イスラエル博物館所蔵印象派・光の系譜— モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン 2021/10/15(金)〜2022/1/16(日)三菱一号館美術館

を紹介させていただきました。今回の情報がこの秋、美術に触れるきっかけになれば幸いです。

 また、現在ほとんどの美術館は当日券の販売はなく、インターネットの事前予約が必要となっています。実際に足を運ばれる際は事前にご確認いただきますようよろしくお願いいたします。加えて現在東京では緊急事態宣言下にあるため今回紹介させていただいた美術展は会期、時間などが変更される可能性があります。足を運ばれる際は一度公式HPをご参照いただきますよう宜しくお願い致します。 

 

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