2020.09.04
第56回 村田佳代子個展
戦争から75年…「読ませる絵」に平和への祈りを託す
洋画家・村田佳代子の個展が、カトレヤギャラリー(神奈川県鎌倉市)で開催された。
村田佳代子は、神奈川県鎌倉市出身の女流画家。聖心女子大学で西洋史学を学ぶと共に、故H・チースリク神父からカトリックの洗礼を受ける。以降、カトリック雪の下教会に所属しながら、油彩やパステル画などを習得。雪の下教会の依頼で鎌倉のキリシタン史を描いたことが注目され、以降、マザー・テレサやローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の来日など、キリスト教をモチーフとした作品は世界的にも評価が高い。また現在は、美術教育団体「村田良策記念アトリエM」を中心に、広く後進の指導にも取り組んでいる。
今回の個展は、最新作を含む油彩画・パステル画17点が公開されたが、いずれも彼女の画家生活を振り返る上で欠かせない作品ばかりである。義父で大学時代の恩師・村田良策(美学者1895-1970)は、「読ませる絵を」との言葉を遺したが、今回の個展は彼女がその言葉に対していかに答えてきたかの軌跡となっている。
今年は第二次世界大戦終結75年にあたるが、新型コロナウィルス感染症の影響から、この重要な節目が軽んじられるのではないかとの懸念がある。キリスト教を通じて平和への思いを発信してきた村田佳代子のメッセージが、しっかりと次の世代へ伝わることを願って止まない。