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2021.11.12

2021年のうちに絶対みておきたい美術展3選

今回は2021年のうちに絶対みておきたい美術展と題しまして、2021年12月までに終了予定の展覧会の中からどうしても見ておきたい展覧会を3つ紹介させていただきます。

2021年も残すところあと一ヶ月と少しとなり、今年中に終了予定の展覧会のほとんどはすでに開催中です。今年は新型コロナウイルスの影響で美術館から足が遠のいてしまった方も少なくないでしょう。

しかし実は、2021年後半にかけて延期されていた大型の企画展が多数開催され、世界的にも人気の高い芸術家の作品が各美術館で公開されています。ここでは、展示が終了してしまう前にぜひ見てほしい美術展を紹介してまいります。

 

1,ゴッホ展−響きあう魂 へレーネとフィンセント 2021/9/18(土)〜12/12(日)東京都美術館

ゴッホ展 響きあう魂 へレーネとフィンセント チラシ

【展覧会の見どころ】

まず一つ目は、美術史上最も偉大な芸術家の一人、フィンセント・ファン・ゴッホの展覧会です。本展の「ゴッホ展−響きあう魂 へレーネとフィンセント」は東京都美術館で開催中の美術展で、12月12日まで開催予定となっています。

本展の魅力はなんといっても、これまで国内で何度も開催されてきたゴッホの展覧会とは違い、一人の熱狂的なコレクターが収集したゴッホの作品がテーマになっている点です。

美術館の特別展には“ルーヴル美術館”など美術館の名を冠した展示、“ピカソ展”といったように画家に着目した展示、印象派展や20世紀のアート展のように時代や芸術運動で括った展示、そしてコレクターの作品が一堂に集められたコレクション展などがあります。サブタイトルにもあるように、本展はへレーネというコレクターが収集したゴッホの作品がテーマであり、へレーネとゴッホ、二人の軌跡を見る展覧会です。

ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)はゴッホ作品を300点以上も収集し、一大コレクションを築き上げた個人収集家です。残念ながらへレーネがゴッホの作品と出会った時、彼はすでに故人となっていました。しかしその作品性に惹かれ、ゴッホの作品収集に生涯を捧げたことで知られています。今となってはゴッホの作品といえば破格の高値で取引されるものですが、へレーネのゴッホコレクションが評価されたのは彼女の死後のことで、これは生前一枚しか絵が売れなかったゴッホの境遇と重なるものがあります。へレーネは愛も健康も幸せも全てを捨てて芸術、特にゴッホの作品に身を捧げました。本展を通して、へレーネを突き動かしたゴッホの魂とは如何なるものだったのかを体感いただけるのではないかと思います。

本展は以前の記事でも紹介させていただきましたが、大注目の展覧会のため再度紹介させていただきました。会期が終わってしまう前に絶対に見ていただきたい美術展です。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】 

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の芸術に魅了され、その世界最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)。ヘレーネは、画家がまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年で、鉄鉱業と海運業で財をなした夫アントンとともに約90点の絵画と180点を超える素描・版画を収集しました。ファン・ゴッホの芸術に深い精神性を見出したヘレーネは、その感動を多くの人々と分かち合うべく、生涯にわたり美術館の設立に情熱を注ぎました。
本展では、からファン・ゴッホの絵画28点と素描20点を展示します。また、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの絵画20点もあわせて展示し、ファン・ゴッホ作品を軸に近代絵画の展開をたどる、ヘレーネの類まれなコレクションをご紹介します。
さらに、ファン・ゴッホ美術館から《黄色い家(通り)》を含む4点を展示し、20世紀初頭からファン・ゴッホの人気と評価が飛躍的に高まっていった背景にも注目します。

【基本情報】
会場 東京都美術館

会期 2021/9/18(土)〜12/12(日)

公式サイトhttps://www.tobikan.jp/exhibition/2021_vangogh.html

2,ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス 2021/9/18(土)〜11/23(火・祝)Bunkamuraザ・ミュージアム

ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス チラシ

【展覧会の見どころ】
2つ目にお伝えさせていただくのはBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス展」です。本展は11/23(火・祝)で終了予定なのであと2週間ほどで終了してしまいます。

本展はポーラ美術館のコレクションの核を成すフランス絵画をテーマにした非常に人気の高い美術展です。ポーラ美術館といえばコレクションの数、質ともに日本トップクラスの名作を揃えており、館内は自然に触れられる開放的な館内であるため、名作に出会う「感動」と美術館にいながら自然に触れる「癒し」の双方を兼ね備えた美術館です。しかし、箱根に位置する美術館であるため、このコロナ禍ではなかなか足を運べないと嘆いている方も多かったのではないでしょうか。

そんな中、ポーラ美術館の珠玉のコレクションを東京のど真ん中で展示することを実現したのがBunkamuraザ・ミュージアムです。本展は明確なテーマで名作が展示され、フランス絵画の近代から現代にかけての一連の流れを見る事ができる展覧会となっています。現在本展ではモネ、ルノワール、ゴッホ、マティス、ピカソ、ブラック、モディリアーニなど…誰もが一度は聞いたことのある芸術家たちの名作が並んでいます。

展覧会も残すところあと数日となりました。まだ足を運んでいない方は展覧会が開催中のうちに是非足を運んでいただければと思います。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】
モネ、ルノワールから マティス、シャガールまで
渋谷で出会う珠玉のコレクション

日本でも屈指の西洋近代絵画コレクションを誇るポーラ美術館から、特に人気の高いフランスで活動した作家28名による絵画を精選し、化粧道具コレクションと合わせた総数約90点の作品を紹介します。
本展は、印象派からエコール・ド・パリの時代の絵画に、アール・ヌーヴォーとアール・デコの工芸品を加え、その都会的洗練による上質な生活や豊かな日常、そして風光明媚な土地を表す作品群を存分にお愉しみいただき、“La Douce France”(甘美なるフランス)を感じていただける構成となっています。
全体に通底する3つのテーマ、時代を映すファッショナブルな「女性像」、近代化によって大きく変貌する「パリ」、画家たちが旅先で出会った風景や、南仏など重要な制作地をめぐる「旅」を通して、フランスを舞台に活躍した画家たちに時代や様式を超えて受け継がれる美意識を浮き彫りにしていきます。

【基本情報】
会場 Bunkamuraザ・ミュージアム

会期 2021/9/18(土)〜11/23(火・祝)

公式サイトhttps://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_pola/

3,ブダペスト国立工芸美術館名品展ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ 2021/10/9(土)〜12/19(日)パナソニック汐留美術館

ブダペスト国立工芸美術館名品展ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ チラシ

【展覧会の見どころ】
3つ目に紹介させていただく美術展はパナソニック汐留美術館で開催中の「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」で、12月19日(日)まで開催予定となっています。本展のテーマとなっているのはブダペスト国立工芸美術館が所蔵する名品から日本工芸が世界各国の工芸作品に与えた影響をみるといった内容のものです。

ブダペスト国立工芸美術館はハンガリーで最も有名なデザインと芸術を扱う国立美術館として知られ、19世紀後半、ハンガリー国内で工業化が急速に進む中、伝統ある美術工芸品や手工芸品を保存・収集するために設立されました。所蔵品は、日本を含む世界中から集められた陶磁器とガラスの作品が最も多く、陶磁器だけで、3万5000点にものぼるコレクションを所有しています。本展でも中心となっているのは陶磁器とガラスの作品で、選りすぐりの名品の数々が館内に並びます。

19世紀後半に日本の美術品や工芸品が海外に本格的に伝わるようになり、西洋では日本趣味(ジャポニスム)が一大ムーブメントとなりました。そして次第に日本の美術品や工芸品に見られる表現を自分たちの作品にも取り入れようという熱が高まりました。まさにこれらは日本に憧れを持った芸術家、工芸家たちの夢が形になったものと言えるでしょう。その影響下で芸術家、工芸家たちがどのように作品を作り上げていったのか、それを日本、西洋の名品とともに辿れる展覧会です。終了まであと一ヶ月、終わってしまう前に絶対見ておきたい美術展です。

【展覧会情報(公式HPより抜粋)】
古くから、日本や中国の工芸品は西洋にとって憧憬の的でした。とりわけ陶磁器やガラスの製品においては、日本や中国の工芸を手本として、材質、形状、装飾などの面で様々な試行錯誤が繰り返されてきました。19世紀後半、日本の美術工芸品がヨーロッパに流入すると、日本の文化に対する人々の熱狂を巻き起こし、西洋の工芸品やデザインに影響を与えるようになります。1854年の開国以降、日本では欧米との貿易に拍車がかかり、ヨーロッパやアメリカの愛好家の求めに応じて多くの美術品や工芸品が輸出されました。日本の文化、また日本そのものに対する憧れによって、ジャポニスムは西洋の作家やデザイナーたちの間で流行のスタイルとなったのです。その影響は、19世紀末の西洋諸国を席巻したアール・ヌーヴォー様式の作品にも大いに見られます。そして、ヨーロッパ諸国の他の工芸美術館と同様、ブダペスト国立工芸美術館も1872年の開館当初から、ジャポニスム様式の作品とともに日本の漆器や陶磁器を始めとする日本の工芸品を積極的に収集してきました。

本展覧会は、日本の美術を西洋がどのように解釈したか、そして日本の美術や工芸がどのようにして西洋に影響を与えたか、そのありようを19世紀末葉から20世紀初頭までの工芸作品の作例を通じて辿るものです。ジャポニスムとアール・ヌーヴォーをテーマに、ブダペスト国立工芸美術館のコレクションからエミール・ガレ、ルイス・カンフォート・ティファニーらの名品とともに、ジョルナイ陶磁器製造所などで制作されたハンガリーを代表する作品群を含めて約170件(約200点)をご紹介いたします。

【基本情報】
会場 パナソニック汐留美術館

会期 2021/10/9(土)〜12/19(日)

公式サイトhttps://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/21/211009/