
2025.01.31
【ルーブル、オルセーだけじゃない‼︎】フランスを訪れたら絶対行きたい美術館 ブルス・ドゥ・コメルス
Contents
パリに行ったら見ないと損!ブルス・ドゥ・コメルス──ピノー・コレクションが生み出す現代アートの新天地


ルーブル美術館やオルセー美術館は、パリ旅行の定番。しかし、それだけではパリのアートを満喫したということはできません。
もし、「伝統の名作を見るだけでなく、最先端のアートが生みだす刺激が欲しい」と思うなら、絶対に訪れるべき場所があります。
それが 「ブルス・ドゥ・コメルス」 です。
ここでは、ただの鑑賞を超えて、アートの力を肌で感じる体験が待っています。圧倒的なスケールのインスタレーション、壁一面を覆う映像作品、音と光が交錯する空間演出…。
ルーブルやオルセーで歴史的な名画を味わうのとはまったく異なる、新たなアートの楽しみ方がここにあります。
世界を魅了するアートコレクター、フランソワ・ピノー
フランソワ・ピノーの名前を知らなくても、彼は現代アートの世界において大きな影響力を持っていることで知られています。
フランスを代表する実業家であり、世界屈指の現代アートコレクターとしても名高い彼は、ファッションブランド「グッチ」や「バレンシアガ」を擁するケリング(Kering)の創業者です。ビジネスの成功を収めた彼は、その財力と情熱をアートへと注ぎ込み、約10,000点に及ぶ現代アートコレクションを築き上げました。
しかし、ピノーが他のコレクターと一線を画すのは、彼がアートを“資産”ではなく、“対話の場”として捉えている点です。社会の変化や人間の本質を映し出す、強いメッセージを持つ作品を収集し、それらを広く公開するために「ピノー・コレクション(Pinault Collection)」を設立しました。
その集大成とも言えるのが、2021年にパリの中心部に誕生した美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」。ここは単なる展示空間ではなく、訪れる人々がアートと対話し、考え、感じる場所として機能しています。
ブルス・ドゥ・コメルスでしか体験できない特別な展示
ブルス・ドゥ・コメルスでは、ピノー財団が誇る現代アートの名作を中心に、世界の最先端を走るアーティストたちの作品が紹介されてきました。年に何度も企画展示が行われ、新たな視点を来館者に提示し続けています。
過去に企画展示が行われた作家
Pierre Huyghe(ピエール・ユイグ)
フランスの現代美術家。映像、インスタレーション、生物学的な要素を組み合わせた作品で知られる。人工生命や環境との相互作用をテーマにした作品を制作し、ドクメンタやヴェネツィア・ビエンナーレなどで高い評価を受ける。
Charles Ray(チャールズ・レイ)
アメリカの彫刻家。ミニマリズムやコンセプチュアル・アートの要素を取り入れた精巧な人体彫刻で知られ、日常的なものを極端に拡大・変形させた作品を制作。MoMA、Whitney、ヴェネツィア・ビエンナーレなどで展示され、現代彫刻の重要人物として評価されている。
Felix Gonzalez-Torres(フェリックス・ゴンザレス=トレス)
アメリカのキューバ系アーティスト。愛、喪失、ジェンダー、アイデンティティなどをテーマにしたミニマルなインスタレーションを制作。キャンディや紙を自由に持ち帰らせる作品などが代表的で、MoMA、Tate、Whitney などの美術館で重要な展示が行われている。 Mike Kelley(マイク・ケリー) アメリカの現代美術家。ポップカルチャー、アンダーグラウンドカルチャー、精神分析的な要素を取り入れた作品を制作し、ぬいぐるみや学校教育をテーマにしたインスタレーションで知られる。MoMA、Tate、Pompidou などで展示され、美術市場でも高く評価されている。
Tacita Dean(タシタ・ディーン)
イギリスの現代美術家・映像作家。16mmフィルムを用いた映像作品を制作し、過去の記憶や時間の流れ、風景の変化をテーマにすることが多い。ヴェネツィア・ビエンナーレ、ドクメンタ、Tate Modern などで個展が開催され、映像表現の分野で最も評価の高いアーティストの一人。
Cindy Sherman(シンディ・シャーマン)
アメリカの写真家。自身がさまざまな架空のキャラクターに扮し、メディアにおける女性の表象やアイデンティティの問題を批判的に探求するセルフポートレート作品で知られる。MoMA、Tate、Pompidou などでの大規模な回顧展が開催されるなど、現代写真の分野で最も影響力のある作家の一人。
建築も魅力の一つ、唯一無二の空間


ブルス・ドゥ・コメルスの魅力は、展示作品だけではありません。その建築、空間自体が魅力を放っています。
この建物はもともと、18世紀にパリの商取引所(ブルス・ドゥ・コメルス)として建設されました。その歴史的価値を保ちながら、美術館へと生まれ変わらせたのが、日本を代表する建築家・安藤忠雄です。
特に象徴的なのが、館内中央にそびえる直径30メートルの円形コンクリート壁。この壁が展示空間を内と外に分ける機能を持つと同時に、アート作品の存在感を際立たせています。
建物の外観は当時の姿をそのまま維持しており、ドーム型の天井や装飾も、かつて商取引所として機能していた時代の面影を色濃く残しています。こうした歴史的建築の要素と、安藤忠雄のモダンな建築手法が絶妙に調和し、ブルス・ドゥ・コメルスならではの唯一無二のアート体験を生み出しているのです。
ルーブルやオルセーだけじゃない!パリに行ったらブルス・ドゥ・コメルスへ
パリを訪れるなら、ただ名画を鑑賞して帰国だけではもったいない。
過去の偉大な遺産を尊ぶのも大切ですが、「これまでに見たことのなかった新しい表現」に触れることもアート鑑賞の大きな喜びの一つです。
ブルス・ドゥ・コメルスは、そんな「今」を映し出す場所。
時に圧倒され、時に挑発され、作品と向き合うたびに新たな視点が生まれる――ここでしか味わえない、**アートとの“対話”**が待っています。
「新しい何かに出会いたい」そんな気持ちが少しでもあるのなら、この美術館を訪れずにパリを去るのは惜しい。
歴史に彩られたルーブルやオルセーとともに、“アートの現在地”に触れる旅を、ぜひブルス・ドゥ・コメルスで体験してみてください。
基本情報
最寄り駅
①Louvre-Rivoli(ルーヴル=リヴォリ)駅 から徒歩約7分
④Les Halles(レ・アル)駅 から徒歩約5分
周辺情報
ルーブル美術館まで徒歩約10分、ノートルダム大聖堂まで徒歩約20分
住所
2 Rue de Viarmes, 75001 Paris, France
値段
大人:15€(常設展入場料。企画展は内容によって追加料金が異なる)
開館時間
月曜日、水曜日~日曜日:11:00~19:00
金曜日:11:00~21:00(夜間開館)
毎月第1土曜日:17:00~21:00(無料入場)
(※内容が変更されている可能性があります。最新情報は公式HP内でご確認ください。)
公式HPリンク
ブルス・ドゥ・コメルス – 公式サイト
https://www.pinaultcollection.com/boursedecommerce
ブルス・ドゥ・コメルス – 展覧会スケジュール
https://www.pinaultcollection.com/boursedecommerce/exhibitions